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リウマチ科

Rheumatology

リウマチ科|自由が丘駅徒歩5分|世田谷区奥沢にある「たかはし内科クリニック自由が丘」

関節が痛い・・

関節が痛いときの原因はいろいろあります。つかいすぎだったり、年齢の変化だったり。多くはそういった原因です。でも中には治療が必要な病気も隠れています。その1つが関節リウマチです。

関節リウマチってどんな病気?

人の体には、外から入ってくる細菌やウイルスに対抗するために免疫細胞がつくられています。その免疫細胞が間違って自分の体を攻撃してしまう病気の一部を「膠原病(こうげんびょう)」といいます。膠原病の中で、免疫細胞が自分の関節を攻撃してしまう病気を「関節リウマチ」といいます。

おもな症状は「朝のこわばり」「関節の痛みや腫れ」です。

朝のこわばりは、朝起きたときに関節の動きが悪く、手を握ることが出来なかったり、足が思うように動かなかったりする症状です。症状が重いと1日中続くこともありますが、日中に動いたりしているうちにだんだん症状は改善してくることが多いです。
関節の痛みや腫れは全身の色々な関節におきます。それは患者さんおひとりおひとり、おこる場所は異なります。手や手指だけではなく、肩、肘、ひざ、足、足指・・ひどいときは顎関節にも痛みや腫れがでることもあります。
こういった症状をがまんして、治療を行わずに過ごしてしまうと、関節の骨や腱の炎症がひどくなってしまい、将来的には関節の変形を起こしてしまいます。

リウマチの原因はなんですか。

よく頂くご質問ですが、まだ分かっていないことが沢山あります。
最近の研究で「たばこ」と「歯周病」により抗CCP抗体という免疫物質ができてしまい、関節リウマチを引き起こすことが分かってきました。「禁煙」「歯周病ケア」はリウマチの予防や治療にとってとても大切です。
また関節リウマチに関係する遺伝子についても見つかっています。しかし、同じ遺伝子を持つ一卵性の双子の方でもお二人がリウマチを発症する場合は15%とかなり少なく、遺伝子だけが発症に関与しているわけではないのです。

関節リウマチを起こしやすい遺伝体質をお持ちの方に、「タバコ」「歯周病」などの影響や風邪などの感染症のあと、大きな手術のあと、妊娠出産のあとなど、外からの刺激や免疫バランスが乱れた時、ストレスがかかった時などに発症される方がおり、関節リウマチの原因は色々なことが関与していると想定されています。

関節リウマチの検査は何をするの?

まずはお話をお聞かせ下さい。いつから痛くなったのか、どこの関節が痛いのか、腫れているのか、日常生活で困っていることなど、何でもご相談下さい。
そして、実際に関節を触らせて頂き、腫れや痛みの程度をみさせて頂きます。
その上で、血液尿検査で関節リウマチの抗体をお持ちか、炎症の程度や内臓に問題がないかを調べます。
また関節の中に実際炎症があるのか、炎症の程度がどのくらいなのかを関節エコー検査で調べます。診察でも分からないような早期のリウマチを見つけることが可能です。
レントゲン検査では骨への大きなダメージがないか、肺に問題はないかを調べます。
これらの検査を組み合わせて総合的に診断、そして治療方針を決めていきます。

リウマチの治療は?

関節リウマチと診断された場合、速やかに治療を開始することが推奨されています。リウマチの関節破壊の進行はより早期から急速に進行していくことが明らかとなっているからです。

関節リウマチの治療は大きく進歩しました。長らく抗炎症薬を中心とした対症療法が中心でしたが、20世紀後半にメトトレキサート(MTX)を中心とした抗リウマチ薬が出現したことで、リウマチの治療は活動性を抑えることが可能となりました。さらに21世紀に生物学的製剤がつくられるようになったことで、寛解(症状がなく、検査上も炎症がない状態)、関節破壊の阻止、機能障害の阻止へと発展してきました。

治療の基本戦略については、米国、ヨーロッパ、日本のリウマチ学会などからガイドラインが出されています。私たちリウマチ医はこれらのガイドライン参考にしながら、目の前の患者さんの状態に合わせ、患者さんと相談した上で薬剤を選択していきます。これらのガイドラインで共通して書かれていることは、メトトレキサート(MTX)という薬が使用出来ない場合を除いて、「第一選択薬」ということです。

現在、治療薬の選択肢が増えたことで、患者様の生活スタイルなども考慮し治療をすることができるようになってきました。一方で、リウマチの治療薬は副作用が多いのも事実です。

リウマチの飲み薬にはどんなものがあるの?

リウマチ治療の内服薬は沢山ありますので、その一部をここでご紹介いたします。

メトトレキサート(MTX)

関節リウマチの治療薬でもっとも重要な薬で中心的役割を果たす薬剤がMTXです。海外では「アンカードラック」と呼ばれています。アンカーとは錨(いかり)のことです。世界中でこの薬が関節リウマチ治療の中心的薬剤として使われています。高い有効性と継続率を示しており、関節破壊を抑制します。日本ではこの薬が使われるようになり、関節リウマチの治療は大きく変わりました。
もともとMTXは1940年代から抗がん剤として開発、使用されましたが、使用経験の中で関節炎が改善されることが分かり、リウマチの治療薬として応用されました。抗がん剤として使用する際は非常に多い量を投与しますが、リウマチの治療ではその約10分の1程度の量を週1-2回投与します。週1−2回の内服という点で毎日飲む一般的な薬剤とは異なりますので、飲み方を間違えないことや飲み忘れに注意が必要です。
最初は少なめの量(患者さんの状態にもよりますが、6-8mg/週が多いです)から開始し、効果はどれくらいか、副作用が出ないかを見ながら量を調節していきます。また副作用を予防する目的で、MTXを飲んだ2日後に葉酸を内服します。日本では2011年より1週間に16mgまで使用することが可能になっています。MTXは飲み始めてから早い方で約2週間程度、通常は1−2ヶ月程度で効果がでてきます。じわりじわりと効いてきます。飲んだその日から効果が出る薬ではありません。効果が少ない時は適宜増量していくことで有効となることが多いです。MTXのみでも関節リウマチの症状が改善する方は半分強くらいです。残りの方はMTXのみでは効果不十分となることがあり、そのような場合は後述のように別のお薬も併用することになります。そんな他剤との併用時でもMTXは中心的に用いられています。

MTXの副作用は・・沢山あります。色々書いてあるので怖くなる方もいらっしゃると思います。MTXの副作用には投与量に比して出現してくるものと、投与量に関係なく出現する副作用があります。
投与量が多ければ多いほど、口内炎や下痢、MTXを内服した日の嘔気、肝機能障害、脱毛、血球減少、日和見感染症があります。こういった副作用に対しては減量をしていくことで改善されることが多いです。投与量に関係なく起こるものとして間質性肺炎が1〜数%あり、もともと肺疾患があったり、高齢、糖尿病、低アルブミン血症などがリスク因子とされています。咳や息切れが続く場合は間質性肺炎の可能性もありますので、早めにご相談下さい。また、非常に稀ではありますが、MTX関連リンパ増殖疾患があります。悪性リンパ腫という血液のがんの一種です。発熱、リンパ節が腫れる、なかなか治らない口内炎、口腔潰瘍、皮膚潰瘍などがある場合はリンパ増殖疾患を疑いますので、画像診断や血液検査をはじめ、精密検査が必要となります。MTX中止のみで回復することもありますが、中には抗癌剤による治療が必要となる場合もあります。もしそのような症状がある際は早めにご相談下さい。

MTXは効果が高い薬ですが、副作用も沢山ありますので、MTXを開始する前はしっかりとスクリーニング検査を行った上で投与することが大切です。
またMTXは妊婦、授乳期、妊娠を検討している方には催奇形性のリスクがあるため禁忌です。また明らかな肝機能障害や腎機能障害、胸水・腹水を有する方、血液リンパ系障害がある方には使えません。

サラゾスルファピリジン

大腸の腸内細菌によって抗炎症効果をもつ5−アミノサリチル酸と、抗菌作用をもつスルファピリジンに分解され、効果を発揮する薬です。肺疾患があったり、腎機能が低いなどMTXが使えない方に比較的使いやすい薬剤です。250−500mgから開始し、1000mgまで使用することが可能です。MTXよりは効果がマイルドな印象はありますが、副作用が少なく、比較的長期間安全に使える薬剤として使用されています。
副作用の発現頻度は比較的低い傾向にありますが、皮疹や発熱などがあります。稀ですが、無顆粒球症など重篤な血液障害が見られるため、定期的な血液検査が必要です。サリチル酸を含んでいるため、気管支ぜんそくや抗生剤アレルギーの既往がある方には注意が必要です。

タクロリムス

日本で開発された免疫抑制薬です。筑波山の土壌に住む放線菌から発見されました。臓器移植を受けた患者さんの拒絶反応を抑える目的で開発、使用されてきました。2005年に関節リウマチの患者さんへの使用が認められ、膠原病のループス腎炎や筋炎に合併する間質性肺炎にも使用が認められています。
安全に使用するために、血中濃度測定を行うことが保険適応になっている薬剤の一つです。血中濃度を測定するためには夕食後に内服し、翌日午前中に血液検査で調べます。
主な副作用としては、腎機能の低下、血糖が高くなる、胃腸障害や感染症などがあります。色々な薬剤と相互作用があるため、注意が必要です。血中濃度を上昇させるものとしてグレープフルーツがありますので、グレープフルーツの摂り過ぎには注意が必要です。

イグラチモド

日本で開発された薬剤です。
1日25mgから飲み始め、4週間後に問題がなければ50mgに増量します。単独でも上述のサラゾスルファピリジンと同等の有効性を示し、MTXの効果が不十分の場合には追加することで、併用効果が示されています。
主な副作用としては肝機能障害、リンパ球減少などがあります。
ワルファリンとの併用で重篤な出血を来す可能性があり、注意が必要です。

ブシラミン

日本で開発された薬剤です。ブシラミンが使用されているのは、日本と韓国だけです。抗リウマチ薬としてはかなりマイルドな効果を示しますが、ブシラミンだけでも改善する方もいらっしゃいます。主に軽症から中等症の患者さんに有効性が期待されています。1日50−100mgから開始し、最大300mgまで使用できます。主な副作用としては、発疹や胃腸障害、口内炎、黄色に変色した爪などがあります。また、長期間使用中に腎障害(ネフローゼ症候群や膜性腎症など)を起こすことがあります。その時は尿タンパクが陽性となりますので、定期的な尿検査が必要です。多くの場合はブシラミンを中止することで重症化を防ぐことができます。

ステロイド

ステロイドは少量で強力な抗炎症作用を発揮し、関節の炎症を抑えてくれます。効果が出るまでの時間が短く、確実な効果が期待できます。ステロイドは一度始めると、急にやめることが難しく、時間をかけて少しずつ量を減らしていきます。また副作用が多く、長期的に関節の破壊や変形を抑える効果は少ないです。副作用としては、骨粗鬆症が進行したり、血糖値や血圧が上がったり、緑内障や白内障のリスクが増えたり、体重が増えたり、夜眠りにくくなるなどがあります。
関節リウマチの治療でステロイドを使用する場合は、炎症の勢いが強く、日常生活に著しい支障が生じたりする時に、強力な抗炎症作用や上記に挙げたようなお薬が効果を発してくるまでの橋渡しとして、短期間限定として使用したり、また関節注射など局所への投与が有効です。